\ぽきっと折れた。もう無理…と思った日/
残り2〜3年。
それまでにやり切って、気持ちよく辞めるんだって決めていた。
研究主任2年目、5年生の担任。
「この子たちを卒業させて、自分も卒業しよう」
とにかく、授業に全力。
やっぱり、学校教育で一番大事なのは“授業”。
一番時間を費やすし、授業がしっかりしていれば、クラスは荒れない。
それが自分の信念だった。
子どもたちが「わかる!」「できた!」って
目をキラッとさせる瞬間が好きで。
「こうすればいいよ」って
教えてしまいたくなるのを我慢して、
学びに向かう姿を引き出す。
授業は楽しかった。
子どもたちも楽しそうで。
毎日が充実してた。
平日は全力で仕事。
土日は妻の時間も確保したい。
(平日は夕方まで一人で娘を見てくれているから)
元々、休日の早朝のカフェでの一人時間がリフレッシュだった。
読書したり、授業を考えたり、ぼーっとしたり
何気ない時間だけど、それが心の余裕だった。
でも、娘が生まれてからは
その時間も減っていった。
(もちろん、娘との時間は幸せ。でもね)
自分でも気づかないうちに、
心の余裕がなくなっていった。
クラス内のちょっとしたいざこざ。本当によくあるようなこと。
丁寧に、子どもたちの話を一人ずつ聞いて、時間をかけて対応した。
でも、納得できなかった。
自分も子どもも
悔しい。悲しい。
土日を挟んでもこの感情は消えず、
週明けの朝――
始業前に体が動かなくなった。
悔しさ、情けなさ、絶望感。
「自分、何やってたんだろう」
「もう無理。続けられない」
後悔の残る指導はこれまでもあったはずなのに、何で今回は…?
自分を責めてしまう。
これまでやってきたことに自信がもてなくなっていた。
校長先生が言ってくれた。
「…休んでみないか?」
その言葉に、救われた。
あのひと言がなかったら、きっと無理にでも出勤する方法を考えていた。
戸惑い、苦しみ、現実を受け入れられない日々が始まった。
ただ、ただ、悔しくて。
情けなくて。
子どもたちにも、先生方にも申し訳なくて。
ひたすら、自分を責め続ける毎日だった。
(次回へ続く)